「陸王」

皆さん読みました?「陸王」。

地元出身の小説家である池井戸潤さんの新作がつい先日発売されました。

本屋で手に取った時は「ぶ、分厚い・・・。」と思ってしまったのですが

読み始めたらペラペラペラっと読めちゃう楽しさ。爽快さ。














ここから先はネタバレもあるので読みたい方はご遠慮ください。

池井戸作品のほとんどを読んでいますが、中でも好きなのは「空飛ぶタイヤ

でした。三菱ふそうの偽装問題を背景に中小企業の経営者とそのスタッフが

存続をかけて悪戦苦闘する物語です。















池井戸作品の中でも中小企業をテーマにした話はそんなに多くはありません。

半沢直樹に代表されるように銀行の話や大手の話が比較的多いように感じます。

中でも今回の「陸王」は「空飛ぶ〜」や「下町ロケット」に出てくる中小とは

違い「小売業」なんですよね。














だからより親近感を持って読むことが出来ました。そして、経営者を自分と

重ね合わせてみたり、登場人物と自社のスタッフを重ね合わせたりして

より感情移入してしまう分、今回の作品が一番面白く感じました。














100年続いてきた地下足袋屋さんがこれからの存続を賭けて「足袋の

ランニングシューズ」を作って、スポーツシューズ業界に殴り込みをかける話。

同時進行的に色んな話が進んでいきます。

・新しい業界に挑むまでの経緯

・商品開発に苦労する話

・周りにドンドン協力者が増えていく中でその一人ひとりのエピソード

・主人公である経営者の息子が家業を手伝いながら就活をするエピソード

・有名なマラソンランナーが挫折を味わいながらも少しずつ復活していく様子

などなど。














「経営」と「マラソン」と「人生」を色んな場面でシンクロさせて描いています。

読んでいない人からしたらなんのこっちゃか分からんでしょうが、好きな場面を

集めてみました。














・「マラソンは35キロ地点がランナーにとって最も苦痛なんです。そこへ行って

応援しましょう」

・「ちょっとしたこと」に気づいて乗り越えるまでが実は大変なこと

・「それが生きていくってこと。会社だって人だって結局同じかもしれない」

・「人気取りや世の中からの称賛を得るために走っているのではない」

・「どんな時にも勝利を信じろ」














いや〜。思い出すだけでまた泣きそうになります。

小説をあまり読まない方やビジネス本が好きな方にもオススメの一冊です。

是非是非どうぞ。